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風を聴く

雨上がりの翌朝、山裾から霧が立ち上っていく様子を窓から見ていると、あの中に入っていきたいと時々思う。以前に経験した時の不思議な感覚はいつまでたっても色褪せなく時折思い出してはまたいつか、と思いながらも日常に追われてしまっている。

山を登り始めてしばらくたって頂上まではまだ幾分距離がある尾根を歩いている時、右手からかすかに音が聴こえたような気がした。風も感じて音の方を見る。風が先だったのか、音が先だったのか。向こうの尾根に霞がかかっている。きれいだなぁなんて思っているとどんどん霞が近づいてくる。霞が実は雨だったと気付いた時にはサーと雨に周りを囲まれ、あっという間に霧の中。そして来た時と同じくらいあっという間に雨は行ってしまった。なかなか経験できない優しく雨に包み込まれる体験。同時に不思議な浮遊感に包まれて、一瞬浮いているような感覚を覚えた。夢の中では良く空を飛んでいたけれど、飛ぶというより浮かんでいる感じ。霧と一緒に山を登っていけるような、疲れを忘れて周りを見ていた。
山裾から立ち上がる霧は、その時のことを思い出させてくれる。あまりにも昔の出来事なので、実は夢だったのかと思ってしまうけれど、いつかまた体験したくて、雨上がりの山に見入る時間が長くなる。

山の風は心地よい。猛暑が予想されている今年は、山で風の音を聴きながら暑さをしのぐ計画でも練ろうか。

山に仕事でしている人たちには怒られそうな気がしながらも、どこぞの山に行こうか思いを巡らせながら遠くの山々を眺める毎日です。